賭けで動く恋

「何故ですか?見ての通り私は全身丸っこいですし、綺麗でも可愛い訳でも無い。
なのに何故私でなくては駄目なんですか?」

「卑下するのは止めなさい。貴女は充分魅力的です。さ、立って?」

……神谷さんの囁きはどうして逆らえないのだろう。

座っていた椅子から私の椅子の横に着て、微みながら差し出された神谷さんの手に手を重ねて立ち上がりながらそう思った。

夢現にいるようなぼんやりした中、私の頬に手を当てた神谷さんは甘い甘い囁きを溢す。

「この卵のように丸い頬も……」

手が頬から首を通って肩にーーー

「撫で肩の綺麗なラインも……」

もう片方の手は首の後ろを下から上へ指を這わせーーー

「衣紋から覗く衣装ぼくろの妖艶さも……」

肩にあった手が腕を伝って袖口から直接肌にーーー

「ふとした時に目に触れる、血管が透けて見える腕の内側の肌の白さも……」

「全て私を捕らえて離さない」

隙間なく抱き締められた神谷さんの腕の中、胸に置いた手からは早く脈打つ鼓動が伝わってきた。

私の心臓も同じ、ううん、それ以上に早く鼓動してる。
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