賭けで動く恋

「べ…つに探せば丸顔で、撫で肩で、首の後ろにほくろがあって、私より色白の女性なんて他にもいるでしょう。
私でなくてはいけない理由にはなりません」

「………何を恐れているのですか」

恐れてる。

そうだ、私は恐いんだ。

この人に関わったらいけないと本能が叫んでる気がして……。

黙ってうつ向く私の頭を優しく撫でる神谷さんが懇願する。

「お願いします恵実さん。
引っ越しもしてしまいましたし、絵が描けなければ薫との約束である個展が開けません。4ヶ月、時間を下さいませんか」

別に個展が開けなくても私には何の責任も無いし、引っ越してきたのは神谷さんの勝手だ。

モデルを引き受けなくちゃいけない理由は無いけど住所を調べるくらいだから断ってもしつこいだろうな……。なら、

「賭けをしましょう」

「「賭け?」」

首を傾げる2人に頷く。

引き受けるべきなら天が彼等に味方するだろう。

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