賭けで動く恋

泣き初めた頃は妹さんが知ってた事に動揺して『会ったら妹さんが淳さんに全て喋ってしまう』『知られたくないから会えない』と思ってたけど、『自分から過去を伝えていれば会えなくなっても諦めがついたのに』と思った事を思い出した。

同じ【会えない】なら自分の口から全て伝えてすっきりする方がいいに決まってる。

受話器を置いた私は足早に玄関へ行き躊躇う手を伸ばして扉を開けた。

「恵実さん」

安堵したように微笑む淳さんを見て、出来れば全て話した後もその微笑みを向けて欲しいと願った。

「中へどうぞ」

願いを断ち切るように背を向けて先にリビングに入る。

対面式のキッチンでコーヒーをいれて、初めて来た時と同じ席に座る淳さんの前に置いた。

「ありがとうございます」

お礼を言って何度か喉を動かした淳さんがカップをソーサーに戻したのを見て重い口を開いた。
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