賭けで動く恋

「私には5つ歳上の姉と2つ下の弟がいます」

この話しを聞いて淳さんはどう思うかな。

軽蔑する?それとも……。

反応が恐くて視線をココアの入ったコップに落として過去を振り返る。

「両親にとって姉は初めての子供で弟は初めての男の子です。両親にそのつもりが無かったとしても私には2人程可愛がられてる気がしませんでした。
私だけの写真が2人に比べて少ないのが益々その考えに拍車をかけました」

苦しくなる胸をココアを飲んでごまかす。

「小さな子供の頃から無意識に両親の手を煩わせず、かつ気を引くためにずっと『いい子』を演じてきました。その事に気付いたのはだいぶ後になってからでしたけど……。

学校ではクラス委員になったり好成績をとったり。家は共働きだったので掃除や料理を手伝ったり。

それが変わったのは中学2年の時でした」

増すばかりの息苦しさに唇を噛む。

悲しみや虚しさで入り乱れる感情を落ち着かせる為に少しの沈黙を流してから、続きを語った。
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