賭けで動く恋
長い、長い沈黙。
カチカチと時計の秒針の音が場を支配する。
「…私は」
「え?」
秒針の音に消えてしまいそうな小さな声でポツリとこぼした淳さんの声が聞き取れなくて聞き返した私は、次の言葉に目を見開いた。
「私は、恵実さんがいないと生きていけません」
そう言った淳さんは絵を描く時と同じ瞳で柔らかく微笑んだ。
けれど、すぐに顔を曇らせる。
「すみませんでした」
……やっぱり自傷行為する心療内科通いの女なんて好きになれないよね。
『いないと生きていけない』って言われて少し期待した自分が恥ずかしい。
うつむいて苦く笑う私の耳に思いもよらなかった言葉が届いた。
「ここに来る前に妹に聞きました」
勢いよく顔を上げて呆然と淳さんを見つめる。
どうして?妹さんは淳さんに近づかなければ話さないって言ってたのに。