賭けで動く恋

「賭けはどうなってます?」

「もう1歩……ですね」

絵の中の自分を恥ずかしいような自慢したいような不思議な気持ちになりながら小さな声で尋ねた質問に、見下ろして答えた淳さんの妖艶な顔に鼓動が跳ねた。

期待してるような自分に頬が熱をもったのが分かってうつ向く。

「覚悟して下さいね、恵実さん」

甘い声が下腹部を震わせた時、後ろから明るい声がかかった。

「淳!っと、加賀さんいらっしゃい。モデルお疲れ様」

「お久し振りです、日比野さん。お邪魔してます」

濃紺のスーツに淡いピンクのネクタイをした日比野さんの嬉しそうな様子に2人揃って首を傾げる。

「薫さん、何かありました?」

淳さんの質問に日比野さんは大きく頷いて淳さんの肩を叩いた。
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