賭けで動く恋

「ちょっと貴方恵実に何するの!」

「淳、お前本当どうしたんだよ」

大きな声を出す百合さんとスーツの男性に答えないその人に、私もどういうつもりか聞こうと振り返ろうとした。けれど、

「動かないで下さい」

私が動くより先に、その人の吐息を多く含む低く掠れた、でも艶のある囁きがすぐ後ろから私の耳を擽って身体が動かなかった。

「そう、いい子ですね」

言葉が終わるか終わらないかという時、また首に何か、たぶんその人の指がいったりきたりと這って、意図せず声が漏れた。

「ゃ……あ……」

何!?何でこんな声が出るの?

出てきた自分の出したことのない甘さを含んだ声に顔が熱くなる。

恥ずかしさと混乱で顔の下半分を両の袖に隠したけれど、それは間違いだった。


首に濡れた感触がしたーー

「……ンぁ…ふ…」

「………いいですね」

首にかかる息に目を閉じた時、何かがぶつかるような音がして腕を引っ張られた。
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