封印戦慄映像
 茂を振り切るように、目の前を通過した。


冷蔵庫を覗き込んでいる冬馬の横顔を、盗み見て睨んだが、釣り上がった目は、柔和な目に変化を遂げていた。


「久実、座ってて。ある程度皆の分を運ぶから……お前はワインだよな。グラスも持っていくよ」


――優しい瞳。やっぱり私はまだ……この人を好きだ。


「グラスと取り皿は私が出すよ。ありがとう」


悔しいけれど笑顔を作り、レンジが載っている小さな棚から、小皿とグラスを取り出した。


「冬馬、その子に優しくしないで! 早くこっちへ来て飲みましょう?」


既に顔が赤くなっている直子が冬馬を呼んだ。
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