だるまさんが鬼になった
溜め息をついて駅へと引き返そうとした、その時。
ぺったんこのリュックサックの中から『ラ』の音がポンと聞こえた。
急いでリュックサックの中からノートパソコンを取りだし、メールアイコンをクリックする。
*ーー*ーー*ーー*ーー*ーー*ーー*
思い出そう。
真の【ハート】はどこにある?
君の【ハート】はどこにある?
*ーー*ーー*ーー*ーー*ーー*ーー*
今度は【招待状】ではなく【親切心】という件名で送られてきた。
なにが【親切心】だ、なにが。
眉間に皺を寄せて画面を睨む。
が、よくよく文面を考えてみると、これは確かに【親切心】なのかもしれない。
本当の指定場所、つまり真の【ハート】は別の場所にあるということ。
「まさか、あの場所?」
いやでも、そんな。
だってあの場所は………。
そう思いながらも、自然と足は進む。
人のいない街中を進み、途中で角を曲がり、フェンスの穴をくぐり抜け。
そうして、墓のように、少し盛り上がった土の上に置かれた大きめの石。
の、近くに転がる小さな石。
それはとても歪な形をした、あまりにも不自然な人工的に作られたモノ。
人工的に型どられた、【ハート】の石。
つまりここが、指定場所なんだ。
周りは墓地で、不気味に揺れる木々が私を囲むようにぐねりと向いている。