だるまさんが鬼になった

溜め息をついて駅へと引き返そうとした、その時。

ぺったんこのリュックサックの中から『ラ』の音がポンと聞こえた。


急いでリュックサックの中からノートパソコンを取りだし、メールアイコンをクリックする。



*ーー*ーー*ーー*ーー*ーー*ーー*

思い出そう。
真の【ハート】はどこにある?

君の【ハート】はどこにある?

*ーー*ーー*ーー*ーー*ーー*ーー*



今度は【招待状】ではなく【親切心】という件名で送られてきた。

なにが【親切心】だ、なにが。


眉間に皺を寄せて画面を睨む。

が、よくよく文面を考えてみると、これは確かに【親切心】なのかもしれない。


本当の指定場所、つまり真の【ハート】は別の場所にあるということ。



「まさか、あの場所?」



いやでも、そんな。
だってあの場所は………。


そう思いながらも、自然と足は進む。


人のいない街中を進み、途中で角を曲がり、フェンスの穴をくぐり抜け。


そうして、墓のように、少し盛り上がった土の上に置かれた大きめの石。

の、近くに転がる小さな石。


それはとても歪な形をした、あまりにも不自然な人工的に作られたモノ。


人工的に型どられた、【ハート】の石。


つまりここが、指定場所なんだ。


周りは墓地で、不気味に揺れる木々が私を囲むようにぐねりと向いている。

< 10 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop