だるまさんが鬼になった



ぴちょん、

雫がひとつ落ちる音が木霊する。


「ん……」重い瞼をこすりながら開ける。すると、そこは無人駅だった。



「………なん、で…」



混乱する頭を必死に回転させ、先程までの出来事を整理してみる。


まず、人混みの多い電車にのった。

次に、人の波に押されて大体の人の死角に当たる場所まで移動した。

で、最後に鉄臭い固いモノで後頭部を殴られて…。


ハッとして後頭部を押さえた。
…よし、血は出てないみたいだ。


それにしても、ここは一体どこなんだろうか。駅から出て辺りを見回すと、やっぱり誰もいない。

だけどそこは見たことのある場所だった。



「ここ、隣町じゃん……。じゃあ指定場所は、」



真っ直ぐ歩き、ベンチの後ろへ回った。そこで見上げれば…。



「【場所:ハートの彫刻前】って、ここだよね」



1m程高さのあるブロンズ像。

随分と歪(いびつ)な形をしているけれど、見ようによってはハートにも見える。


さて、問題はどうするか、だ。

私以外に誰もいない。本来活気あふれる都会街だというのに、誰一人いないのだ。

ということは当然、ゲーム参加者もいなうということ。


まさか、私以外参加していない?


「……。」せっかく一時的にも脱・引きこもりしたというのに、なんだこの仕打ちは。

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