ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



「沙奈……」

「バカ」

「俺が由香里を見つけて、どうにか磨理子さんに捕まらない方法を考える!」

「それなら私も行く!」

初めて意見がまっ向から対立した。

困惑するのと裏腹に、なぜか新鮮味を感じて、うれしくもある。

「ワガママ言うなよ! きっと親が心配してるって!」

「ちゃんと連絡するから!」

「だか……ら……」

この瞬間、俺の負けは決定した。

「グスッ……」

その涙に勝てるはずもない。

「グズッ、由香里は私にだって、大事な友達だもん……」

「……わわかったよ、一緒に行こう」

道のまん中でうずくまる沙奈の手を再び引き、由香里の自宅へと向かった。

俺の横で、親に電話を掛ける沙奈。

次第に語気が強くなる様子に心配する。

「……大丈夫だった?」

「うん、なんとか……」

その表情は暗い。

「俺さ、近いうちにちゃんと、あいさつに行くよ! もちろん、沙奈がよければだけど」

「……お父さん、気性が荒いから、多分殴られちゃうかもよ?」

「いい……いいよ! それぐらいの覚悟はしてる」

「ふぅーん……」

そう言ったきり、彼女はなにも言わなかった。

でも、痛いほどに手を握りしめていた。



 
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