ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
午前1時13分。
終電間際の電車はひどく混んでいたのに、商店街に人の姿はない。
「静かだな……」
少し声を発しただけで、地平線の彼方まで聞こえるように響き渡る。
やがて、閑静な住宅街へ。
「あの家だよ」
沙奈が指を差す。
その先にある洋風な造りの一軒家。
シャッターの閉まりきったガレージの前には、車が1台と原付が2台停まっていた。
いずれも若者が乗り回していそうな装飾が施されている。
表札の下にあるインターホンを押してみた。
―――♪ピンポ~ン♪
「ワォ゛ーン……」
反応するのは近所の番犬だけ。
だが、家の中に人がいる気配はある。
「……どうする?」
沙奈は俺に委ねた。
……このまま帰るわけにはいかない。
「裏に回ってみよう」
ふたりで、室外機の置かれたせまいスペースを進む。
そこを抜けると、
「いる……」
リビングの明かりが洩れていた。
音を立てないように、芝生の上を忍び足で歩く。
「……っと! ……ハハ」
「いい……ん! もっ……ぶるなよ」
次第に声も洩れてくる。
そっとカーテンの隙間に顔を近付けた。
「キャ! も~う」
「俺たち限界なんだよ。な、ヤらせて?」
「んー……いいよー!」
目を疑った。
4人の男たちに服を脱がされ、缶ビール片手にケラケラ笑っている女がひとり。
「由香里……?」
今にも裸体を晒そうとするその瞬間、俺の怒りは沸点を超えた。