ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
――ドンッ! ドンッ! ドンッ!
「由香里! 開けろ、由香里!」
窓を激しく叩くと、全員が驚いてこっちを向く。
肝心の由香里は、目が虚ろだった。
すでに浴びるほど飲んだあとなのか、起きあがろうとして断念する。
と、上半身裸の金髪頭が、ズボンのチャックを閉めながらこっちへ迫ってきた。
――ガラガラッ。
「誰だ、お前!?」
窓が開いた瞬間、室内から欲望渦巻く熱気を感じ取る。
「お前こそ誰だよ!」
「あ?」
由香里の両足をつかむ男、片手に撮影しているっぽくスマホを持つ男、動じる様子もなく酒をあおる男。
どいつもこいつも、俺たちとはちがう世界にいるヤツらだ。
「なんの用? もしかして、お前もあの子に呼ばれたの?」
「は?」
俺の背中に隠れていた沙奈は、初めて見る友人の乱れた姿に困惑している。
「由香里……」
「あれー? キミ、かわいいじゃん!」
沙奈の髪に触れようとする軟派なクズ。
「近付くな!!」
俺は男との間に割りこんだ。
「……フッ。だーかーらー、お前、なにしに来たわけ?」
「今すぐ由香里から離れろ!」
俺が恫喝すると、4人は顔を見合わせた。
そして……。
「ハハハハッ!」
高らかに笑う。
「ハハッ、ヒーロー気取り? 超ウケんだけど!」
「お前ら、けけ警察に電話するぞ!」
情けないが、声は震えてしまう。
「どうぞどうぞ。俺らは呼ばれてきてるわけ! ほら」
一切動じない目の前の男は、液晶の割れたスマホを突きつけてくる。
「今夜は家に誰もいないから来ていいよ。……な? ちゃんとそう書いてあるじゃん!」
俺は下にあるURLに気付いた。
「出会い系……?」
「そういうこと!」
「けーいたぁ~、一緒に飲もっ! こっちこっちー!」
「由香里……」
酔いつぶれた様子の由香里が、身体を揺らし、ソファから落ちる。
「ヒック、う゛ぅ」
かと思うと、急に泣きだした。
その姿は、哀れ以外のなにものでもない。