ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「「「誕生日おめでとう!!」」」
――パンッ! パンッ!
「うわぁ!」
突然のコールと一緒に鳴るクラッカー。
差しだされるホールケーキ。
「ぇ……」
俺は開いた口が塞がらない。
「そうそう、その顔! いいねぇ~、いいよ!」
「お、お前!?」
小泉だ。
小泉大輝、コイツはこのサプライズパーティーを成功させるために、わざと掃除を頼んで俺を学校に残したんだ。
「ほら、ロウソク早く消して!」
満面の笑みで遠野由香里が続く。
見た目は遊んでそうに感じるが、実はすごく真面目で、恋愛に奥手な女の子。
「なんなら、あたしが消してあげようか?」
いつも俺とふたりで冗談を言い合う冴木佑美が、おどけて言う。
彼女だけが唯一、3年間クラスが一緒だ。
「じゃあ、俺がギター弾くから、みんなで唄おう」
俺らよりも断然、大人びていてクールなバンドマン、川本くんこと川本将昌。
彼の演奏とともに、大合唱のバースデーソングが室内を包む。
俺は気はずかしさを抑えながら、6本のロウソクに灯された炎を消した。
そして……。
「これ、みんなから。はい! 誕生日おめでとー」
そう言って頬を紅く染める清楚な少女、小嶋沙奈。
華奢な手のひらにのせた小さな紙袋を俺の前に差しだした。
「このプレゼント、沙奈が選んだのよね~」
「誰かさんが喜ぶと思って、ね~!」
「佑美も由香里も、やめてよー! はずかしいじゃん! ……気に入るかわからないけど、ちゃんと真剣に選んだから」
拍手の嵐。盛りあがりは最高潮。
「「「おめでとーう!」」」
「ありがとう。あ、開けても……いい?」
「う、うん」
「どうぞ-!」
俺はリボンに手をかけた。
袋の中には手のひらサイズの黒い箱。