ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
待ち合わせの時間から遅れること5分、最後にやってきた沙奈。
少し小走りで、横に流した前髪を気にしながら、
「ごめん!」
と駆け寄ってくる。
その姿はいつもと同じで、
「遅刻だから……わかってるよねっ?」
と由香里を筆頭に、みんなからデコピンをされるお決まりのシチュエーション。
「イターイッ!」
うっすら涙を浮かべる顔を見ていたら、佑美と由香里から自然に笑みがこぼれた。
もしかすると、彼女はわざと遅れてきたのかもしれない。
ふと、そう思った。
「じゃあ……行こうか」
「「「うん」」」
俺たちは、会場の入り口へと足を進めた。
「…………」
川本くんの葬儀と酷似した厳かな雰囲気に再び身を投じる。
「…………」
みんなはどんな思いで手を合わせているのだろう。
今、改めて気付く。
小泉大輝という能天気なムードメーカの偉大さに。
ケンカをしたこともあった。
でも、それを今さら思い出すぐらい、笑い合った。
俺の喜怒哀楽のとなりには、いつもコイツがいたんだ。
「大輝……」
初めて目の前で名前を呼ぶ。
だが、棺の中の彼は、瞼をあげてはくれない。
「小泉……」
そう、いつものように呼びかけても。
……死んだんだ……。
また、感じたくもないのに実感する。
2日前、俺たちは線香花火を囲んで笑った。
だけど今は、線香の独特な匂いに囲まれ、すすり泣いている……。