ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「……ッ!」
ふと目を覚ます。
小泉との最後の夜に交わした会話。その記憶が夢になって現れた。
時計を見ると、20時15分。
「ヤベッ」
通夜の斎場で待ち合わせる時間は21時だ。
急いで支度をすれば間に合う。
……今見た夢は、きっとアイツが俺に「大丈夫だ!」と伝えてくれたんだ。
呪いだなんて、ただの先入観。
「そうだよな……? 守ってくれよ、俺もみんなも」
ひとりつぶやきながら、家を飛びだす。
今は不思議と怖くない。
「敬太!」
「おう……」
最初に現れたのは由香里だった。
「…………」
「…………」
さて、なにを話していいかわからない。
「ぁ……」
ほどなくして、俺たちの視線の先……次に来たのは佑美。
俺たちを見つけ、佑美は手を振ろうとしたが、寸前でバツが悪そうに引っこめる。
「…………」
「…………」
そう、なにを話していいかわからない。
佑美の表情はひどく暗かった。
彼女の考えなら、手に取るようにわかる。
失われた、ふたつの命の重さ。
自分が引き金を引いてしまったかもしれないという、責任。
そして、自身にも降りかかるかもしれないという、焦り。
「大丈夫だから!」
俺は無理に笑って、そう言うしかなかった。