ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
駅構内のトイレ前で、俺はひとり待っていた。
その隙に、襟を直して髪を整え、身だしなみを再度、確認。
なぜなら、もうすぐ沙奈が出てくるからだ。
……こんなときにも、異性を意識するなんて……。
俺は、最低な薄情者かもしれない。
「あ、佑美……?」
一番最初に着替えを済ませたのは彼女。
「…………」
俺は言葉を失った。
めったに履かないミニスカートに、花柄のシャツ。
オープントゥのパンプスから見えるつま先には、水色のネイルがキレイに塗られていた。
そして、意外と似合っているポニーテール。
初めて佑美に”女”を感じてしまう。
「なによ!? 見すぎ!」
「ぁ、あぁごめん! お色直しは完璧だな」
「ぇ? あ、……うん」
さすがに今日は、気の利いたツッコミを入れる余裕はないらしい。
遅れて、由香里と沙奈が一緒に出てきた。
ふたりはともに軽めの服装で、佑美だけが少し浮いている。
コインロッカーに荷物を詰めたあと、
「……どうする?」
と行動を決めあぐねているような由香里の声。
背伸びして酒を飲んでみたり、踊り狂って明かす夜じゃないことは明白だった。
「みんなで調べようよ、終わらせる方法!」
佑美は責任の重さを噛みしめるようにそう言った。
「おう!」
「そうだね」
となれば、最適な場所はひとつ。
改札を出て、北口の長いエスカレーターに乗る。
下るにつれ、次第に大きくなるダンスミュージック。
閉まったシャッターの前で踊る若者たちがいた。
……なんで、こんな所で?
理由はひとつ。
彼らは”生”に歓喜し、踊っているのだ。
「…………」
だが俺たちは、”死”に直面して、この世の者ではない存在に踊らされている。
このちがい、あまりにも不条理だ。