七赤村


次の瞬間、部屋の中に何かが入り込んでくるような気配と、くぐもった悲鳴が響いた。



バタバタガタガタ、木の箱が暴れている。

生贄は静かにしないといけないんだけど、とても無理な話だと思う。

だって、もうじき食べられてしまうから。



悲鳴をあげるとわかっているから、木の箱の中に入れて、目隠しをし、さるぐつわをさせるんだ。




その悲鳴は、あまりにも生々しくて。

びっくりしたときの悲鳴なんかじゃ比べ物になんないくらい、恐怖で埋め尽くされた悲鳴。



そして恐怖に悶え苦しむ生贄を、カミサマは容赦なく喰う。


< 12 / 32 >

この作品をシェア

pagetop