夏の桜が咲く。

「梨桜っ!」

「香織っ!滝川くんっ!」

思いっきり二人に抱きついた

「同窓会ぶりだから…10年ぶり?
毎年来てるなら顔だしなさいよ!」

「あははぁ〜ごめん(笑)
子供さんは?」

もう二人には子どもがいる

「おいてきたよ」

「そっか。わざわざゴメンね
さっき電話した時言ってくれれば良かったのに」

「驚かそうと思って(笑)
梨桜ママに協力してもらった!」

振り返るとお母さんが

ニッコリ笑っていた。

「とにかく出よ。またねお父さんお母さん」

画材を持って家を出た



近くのカフェに入った

「神田…見つからないんでしょ?」

「うん…。」

「まだネックレスしてるんだね」

「一応ね。
でももう今年で最後にしようと思う
お見合いしようと思ってる」

「お見合い?梨桜が?もったいない
まだまだ男がよってくるでしょ?」

「もう37よ?(笑)
お見合いとかじゃないと無理よ」

「大丈夫、まだ30代に見えないから」

「あはは…」

「諦めるとか言ってるけど
無理なんでしょ?」

「…」

香織には秘密は無理なのかもしれない

でも…

本当に最後にしようと思う

「諦めなくても
最後にしようと思ってる」

「そう…まぁいいわ。
もう行かないとでしょ?
今日は会えて良かった、また落ち着いて帰ってきなさいよ」

「ありがとう」


そう言って私は

丘へ向かった。
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