イジワル王子と屋根の下



「…あーもう、起きたものは仕方ないけど」



そして立ち上がった俺にその首は不思議そうに傾げられた。



「?どこか行くの?」

「コンビニ。飲み物買ってくる」

「あっじゃあ私も一緒に行く!買いたい物あるし!」

「なら服くらい着替えて来い。あと寝癖も直せ。顔も洗え」

「はーいっ」



梨沙はそう頷いて、バタバタと部屋へ戻って行った。

その姿は…まるで、そう。飼い主に散歩に連れて行って貰う犬のよう。



今年の春、ひょんなことから前の家を出て新しい部屋で暮らすこととなった俺の前に現れたのは…こいつ・水谷梨沙。



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