イジワル王子と屋根の下



「君、名前は?」

「りっ梨沙です!水谷梨沙!」

「梨沙ちゃん、ね。可愛い名前だ」



そう言いつつその男性はそっと私の手を握る。



「またお店に行かせてもらうよ。よろしく」

「はっはいっ!こちらこそ!」

「じゃあまた、今度ゆっくり。ほらお前ら行くぞ」

「じゃあな、亀戸ー」

「また月曜ね」

「うん、また」



そして会社の人たちは、ぞろぞろとその場を後にした。

その姿が見えなくなった途端に、にこやかなその顔つきは元通り怠そうな顔に戻っていく。



「…はぁ、ここで会うとはな」

「……」

「?何だよ、ボーッとして」

「…素敵…」

「は?」

「…素敵っ…!!」

「…はぁ?」



うっとりとする私に、瞬は眉間にシワを寄せ本気で首を傾げる。


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