イジワル王子と屋根の下
「ってことはアイツ、こんな時間に女の子一人で出歩かせたのか?何て奴だ!電話して叱ってやる!」
「い、いいんです!私が黙って来ただけだし…それに」
「?」
「…今あの顔見たくないので」
「へ?」
思い出してはイラッとする私に、課長さんは『?』を浮かべる。
「喧嘩中?」
「…そんな感じです」
「あいつでも喧嘩するんだなぁ。人当たり良くて穏やかで…会社でのあだ名は王子なんだけど」
「王子なんかじゃないです!あんな奴!」
「まぁ、そこは梨沙ちゃんだけに見せられる顔なんだろう」
こぼされる笑みに、私は腑に落ちない気持ちでカゴにアイスを一つ入れる。