イジワル王子と屋根の下
「……」
…おいまさか、俺…梨沙の前であいつの名前、呼んだりしてないよな…。
…いや、俺がそんなことするわけ…ない、そう思いたい。が。
『バカ!最低!!』
あの様子から見て、ないとも言い切れない気が…
(…だとしたらまぁ、さすがにあいつも怒るか)
はぁ、と溜息をついて俺は電車に乗り家の最寄り駅を目指す。
付き合って半月が経つけれど、正直あまり俺とあいつの間は変わりがない。
あの日、ようやく素直になれたのがまるで嘘のようなくらい。
思えば『好き』だなんて言葉に出したのはどれくらいのことだろう。
(…もう言うことはないと思ってたんだけどな)
ーガタン、ゴトン…と鳴る電車に揺られ窓の外流れる景色を見つめる。