イジワル王子と屋根の下
「……」
自分のこと、ましてや前のこと。決して格好良くはない話。
それらをあいつに話すべきか、迷ってる。
(…けど別にわざわざ言うようなことでもないし…)
けどもし、俺が昨日あいつの名前を呼んでたりしたとしたら、絶対変なこと考えて不安になったり勘繰ったりするタイプだろうしな…。
(あーもう、面倒くせえ!!)
そうチッ、と舌打ちをし止まった電車に俺は駅へと降り立った。
「水谷さーん!しっかりー!」
「起きて!家どこー!?」
「す、すみません〜…」
「…?」
すると聞こえた何やら騒がしい声に目を向けると、そこには若い女と中年のおばさん…恐らく職場の人間であろう二人に支えられフラフラな足取りで歩く梨沙がいた。