イジワル王子と屋根の下



「あ、そういえば」

「?はい?」



てきぱきとトレーの消毒をしていると、思い出したように話しかけてくるのは今日も爽やかな見た目の大野さん。



「水谷さん、彼氏いるんだって?」

「え!?」



な、なんで!?

あ、そういえば昨日宮本さんにそんな話をした、気が…。言われてからようやく、昨日自分がついた嘘を思い出す。



「昨日宮本さんから聞いてさ。どんな人だろうねって皆で話してたんだよね」

「えっ、あー…」



み…宮本さんー!お願いだからその話を広めないでー!!!



「こっちの人?同じ歳?」

「え、えーと…その…」

「?」



まさかここで『嘘でした』なんて言えるわけもなくだらだらと冷や汗をかく私に、大野さんは決して悪意のない顔でニコニコと問う。



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