イジワル王子と屋根の下



「と…年上で、こっちの人です…」

「へぇー…あれ、でも水谷さんこっち来たばっかりじゃ?」

「ひ、引っ越して来てすぐ…偶然会って」

「そっか、それじゃあこっちに一人でもホームシックになる暇もなくて何よりだ」

「…は、はは…そうですね、」



ひとつの嘘を隠すためにまた重なる嘘に、心苦しいきもちでいっぱいになってしまう。



「なになに、水谷さんの彼氏の話?私も聞きたーい♪」



そう話していると、手が空いたらしい宮本さんも会話へと加わる。



「どんな人?優しい?イケメン?」

「格好良い、とは思うけど…」

「けど?」

「性格悪いし歪んでるしドSだし口悪いし態度でかいし姑並みにぐちぐちうるさいし無駄に偉そうだし…」

「へ…へぇ、大変だね…」

「…まぁ、優しい時は優しいんですけど」

「そうじゃなきゃ付き合えないよねー」



ぼそ、と呟く私に二人はあははと笑う。



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