イジワル王子と屋根の下



伏せられた睫毛に、静かな寝息。



それらにふと、思い浮かぶ疑問。

…そういえば、彼はどうしてここに住み始めたんだろう。



ずっと実家暮らしだったから心機一転一人暮らし?それとも気まぐれで引っ越し?

仕事のことすらも知らなかったくらい、彼のことは何も知らないから

気になって、しまうよ



(…あ、顔に睫毛がついてる)



目の下についた一本の小さな毛を、とろうと指でちょんと頬に触れた…その時



「…、」

ガシッ!!

「!」



伸びてきた手は勢いよく私の手を掴む。


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