黄色い線の内側までお下がりください


 大梯は性欲にも似たものを感じていた。


 毎週金曜日のディナーには、あの日以来かかさず食べているものがある。

 ソレは既にナイフで細長く切り分けてあり、ラップでくるんで冷凍庫に保存してある。


 カノジョの全てを支配したという征服感と、誠に反することをしている罪悪感で、ソレを見ると下半身が疼き、自然と手がそこへ行く。そして胸が高鳴り、唾液が口の中に広がる。


 気持ちを落ち着かせると、ラップのひとつを優しく取りだし冷凍庫を閉めた。






【完】


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