「約束」涙の君を【完】



祥太が……



私は白い携帯電話をぱかっと開いた、



「使い方が簡単な方がいいと思ったんだ。

それに、そのタイプのは安かったから」



祥太はちゃんと、二人に負担をかけたくないって私の気持ち、わかってくれていたんだなって、

選んだ携帯電話を見てそう思った。



ボードを取り出そうと思ったけど、まだ文字を消してないことを思い出し、


電話の脇に置いてあるメモ帳を持ってきて、


【ありがとう、おじいちゃん、おばあちゃん。

大切にするね】


って書いた。








それから、祥太も一緒に夕飯を食べ、

少しだけ携帯の使い方を教えてもらった。




アドレスも決めて、


祥太と交換をし、



「いつでもメールしろよ」って、




祥太は帰って行った。







その日の夜、


布団に入りながら、携帯を眺めていた。


自分の携帯なんて、夢みたい。






何度も開いては、また閉じて……




そうだ、祥太にメールしてみようかな……


でも、なんて送ろう。


送りたい言葉がたくさんありすぎて……




『いっぱい話したい事ためとけ』



やっぱりメールやボードじゃなくて、


声が出たら、直接伝えたい。



ありがとうって気持ちと、



好きって気持ちを……




私は初めて祥太にメールを送った。




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祥太 おやすみ

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送信したのはいいけど、返信が気になってなかなか眠れなかった。



祥太、寝ちゃってたかな……

やっぱり明日にすればよかった。




また携帯を開いては閉じて、



時計の数字だけが変わっていくのを眺めていた。



しばらく待った時に、携帯がブルブルと震えて、



布団から起き上がって、急いでメールを開いた。



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おやすみー

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祥太から返信がきたら寝ようと思っていたんだけど、

なんだか嬉しくて……


結局何度も携帯を開いては、


祥太からの返信メールを見てしまって、



なかなか眠れない夜になってしまった。






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