「約束」涙の君を【完】
何度呼び出しても、
なかなか出ない。
あれ、留守電になっちゃった。
もう一度掛け直すと、
今度はすぐに出たから、ちょっとびっくりした。
【もしもし……】
寝起きのせいか、ちょっと鼻声の祥太が出た。
【優衣?】
なんか、眠そう……
声だけでも眠そうなのがわかって、
思わず、くくくっと笑ってしまった。
【何笑ってんだよー。ははっ……】
「眠そうだなぁと思って。
おはよ、祥太」
【あはははっ……】
祥太は電話の向こうで笑い出した。
【電話ってすげぇーや……
おはよう、優衣】
ほんとだね……電話ができるってすごい。
「起きれそう?」
【うーん……】
「眠い?」
【うーん……】
「祥太?」
【…………】
あれ、寝ちゃった???
「おーい、祥太ー?
起きろー。おーい祥太くーん」
【あははっ……】
「もう!起きてたの?】
【起きた起きた】
「じゃあ、待ってるね」
【お、待ってろ】
「また寝ちゃダメだよ」
【あははっ……わかった。
じゃあ、後でな】
「うん」
私は電話を切った。
それから朝ごはんを食べ、洗面所で支度をして、
縁側に座っていたら、
庭先に祥太が現れた。