「約束」涙の君を【完】
「どうした優衣ちゃん?」
賢人くんが私の顔を覗き込んできた。
「近いんだよ……」
祥太はぐっと賢人くんの腕を引っ張った。
「なんだよー。ほんと祥太はヤキモチヤキだな。
大丈夫だよ。知ってんだろ?
俺は誰が好きなのか」
え。賢人くん好きな人がいるんだ……
「知ってるよ。
知ってるけど、嫌なんだよ」
賢人くんは、祥太の言葉に爆笑した。
「ごめんごめん!わかったよ。
からかい過ぎた。ごめん!
じゃあ、先教室行ってんな……」
賢人くんは、軽く片手を上げて教室に入っていった。
ポンと頭の上に手のひらを乗せられて、
祥太を見上げた。
「今日こそテストの勉強しないと、やばいよな」
そうだ……テストがあったんだ。
「俺んちだと、頭入んない気がするから……
教室残って勉強するか」
「どうして祥太の家だと頭入らないの?」
私が首を傾げると、
祥太は私の頭をポンポンとして、
「そういう顔するから……
頭入んないんだよ……」
って、今度は私の前髪をくしゃくしゃっとしてきた。