「約束」涙の君を【完】





「どうした優衣ちゃん?」


賢人くんが私の顔を覗き込んできた。



「近いんだよ……」


祥太はぐっと賢人くんの腕を引っ張った。

「なんだよー。ほんと祥太はヤキモチヤキだな。


大丈夫だよ。知ってんだろ?


俺は誰が好きなのか」



え。賢人くん好きな人がいるんだ……



「知ってるよ。


知ってるけど、嫌なんだよ」



賢人くんは、祥太の言葉に爆笑した。




「ごめんごめん!わかったよ。


からかい過ぎた。ごめん!



じゃあ、先教室行ってんな……」




賢人くんは、軽く片手を上げて教室に入っていった。




ポンと頭の上に手のひらを乗せられて、



祥太を見上げた。




「今日こそテストの勉強しないと、やばいよな」



そうだ……テストがあったんだ。



「俺んちだと、頭入んない気がするから……



教室残って勉強するか」





「どうして祥太の家だと頭入らないの?」


私が首を傾げると、


祥太は私の頭をポンポンとして、




「そういう顔するから……


頭入んないんだよ……」





って、今度は私の前髪をくしゃくしゃっとしてきた。







< 164 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop