「約束」涙の君を【完】




二人で教室に入ると、

「水沢さんはこっち」と、

今日は私の方が教室から引っ張り出された。



女子の更衣室になっている教室に連れて行かれると、


いろんな服装の女子たちでごった返していた。





「とりあえず、水沢さんは……これ。

ブラウスはそのままね」




「う……うん」



衣装を渡され、

あらためて見ると、やっぱり……



「恥ずかしさは捨ててね」




……あ、ばれた。



「わ、わかった」



紺色のベスト



赤いチェックのフリルたっぷりのスカート



スカートとお揃いの、

赤いチェックのリボン





これを着るのかぁぁ……




「おぅ、優衣」



衣装を眺めてため息をついていたら、


杏に声をかけられた。



杏は、白いベストに黒いチェックのスカート、

スカートとお揃いのリボンをつけていた。




「優衣は赤なんだ」



「うん。この衣装……すごいね。


よくこんなに……」



午前組の女子たちみんな、赤か黒の衣装を着て、

髪をアレンジしたり、メイクしたりしていた。



「実行委員の子の親が、なんかそっち系の人で、安く借りられるんだって。



あおいは午後組だからまだだけど、



たぶん着ないだろうなぁ。


とりあえず優衣は早く着替えちゃいな」




「うん……」



みんな着ているし……



うん。頑張ろう。





私はブレザーを脱いで、ピレっピレの衣装に着替え始めた。








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