「約束」涙の君を【完】
祥太はそう言って、歩きだした。
なんだかよくわからないけど、ついて行かなくちゃ…って思った。
その場に立ち上がり、カチカチになったおしりをポンポンと叩くと、
祥太の後を追いかけた。
階段を上って、道に出ると、
しばらく川沿いを歩いた。
太陽に照りつけられて、肩から肘にかけてジリジリと痛む。
セミの声がさらに暑さを増しているように感じた。
しばらく祥太の後ろ姿を眺めながら歩くと、
祥太は一度立ち止まり、そして川沿いの道からはずれて、ただの草むらの中を、ずんずんと進みだした。
私の腰の位置ぐらいまである草。
…虫いないかなぁ。
恐る恐る草むらに入ると、無我夢中で草をかき分け祥太の後を追った。
なんか、どんどん草の背丈が高くなっているような……
そう思った時、いきなり道に出た。
道の向こうは木がうっそうと茂っていて、その周りを高い柵が囲んでいた。
祥太は網とバケツを地面に置いて、柵についている鍵をいじっていた。
「大丈夫なの?」
不安になってそう聞いた時、ガチャッと鍵がはずれて、柵の扉が開いた。