「約束」涙の君を【完】
元の場所に戻り、また鍵を開けて外に出ると、
地面に網とバケツが待っていた。
祥太は鍵を閉めて、バケツと網を両手に持つと、
「もう少し歩けるか?」
と、聞いてきた。
「うん」
私が頷くと、柵にそって細い道を歩き始めた。
しばらく歩いていくと、
緑の中に、黄色が見えてきた。
「うわぁ……」
目の前に広がるひまわり畑。
学校の体育館ぐらいの広さに、
ひまわりが所狭しと咲きほこっていた。
「すごい……こんなにたくさんのひまわり見たの、初めて!
すごい…すごい!!」
私が感動していると、祥太はバケツと網をその場に置いて、
私の腕をつかんだ。
そして、ひまわり畑の真ん中にある通路に引っ張って、畑の中を歩いた。
そして、畑の真ん中で止まると、
周り一面ひまわりに囲まれた。
ちょうど肩ぐらいの位置に花があって、
なぜか急に、祥太と二人でいることを意識し始めてしまって、
ドキドキしてきた。
祥太は、私の腕から手を離した。
「今日のことは、秘密な。
俺とお前……
俺と……優衣との」