「約束」涙の君を【完】



元の場所に戻り、また鍵を開けて外に出ると、

地面に網とバケツが待っていた。



祥太は鍵を閉めて、バケツと網を両手に持つと、


「もう少し歩けるか?」

と、聞いてきた。




「うん」




私が頷くと、柵にそって細い道を歩き始めた。



しばらく歩いていくと、


緑の中に、黄色が見えてきた。





「うわぁ……」





目の前に広がるひまわり畑。



学校の体育館ぐらいの広さに、


ひまわりが所狭しと咲きほこっていた。




「すごい……こんなにたくさんのひまわり見たの、初めて!



すごい…すごい!!」




私が感動していると、祥太はバケツと網をその場に置いて、


私の腕をつかんだ。




そして、ひまわり畑の真ん中にある通路に引っ張って、畑の中を歩いた。





そして、畑の真ん中で止まると、


周り一面ひまわりに囲まれた。




ちょうど肩ぐらいの位置に花があって、



なぜか急に、祥太と二人でいることを意識し始めてしまって、



ドキドキしてきた。





祥太は、私の腕から手を離した。





「今日のことは、秘密な。



俺とお前……





俺と……優衣との」



























< 26 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop