織姫サマはご乱心


「第一、1年くらい会えなくたって別にいいわよ
人間の年の数え方でいくと私たち何億歳?
そんな長い間生きてたら1年なんて一瞬だし」

「ベガ様とアルタイル様もう夫婦みたいなものですしね」

どこか慇懃無礼な態度でお茶を出してくるシェリアクに、ベガは近くにあった消しゴムを投げつけた

「誰があんな奴と夫婦だって言うのよ!!」
勘弁して、と天を仰ぐベガは冗談などではなく本気でそう思っているような口ぶりだ

「誰って…もう人間界どころか精霊界公認の夫婦じゃないですか
僕なんてこの間『ベガ様の子供はいつになったら拝めるのかい』なんて聞かれたんですよ」

「…そんな事言う奴はシリウス様しかいない、あとで文句言っておく」

その時のベガの目は本気で殺る気だった、と後にシェリアクは語った


「なんで皆アルと私が夫婦だなんて思うのかしら?
あっちが勝手に付きまとってるだけだって言うのに…」

「誰が勝手に付きまとってるの?」


のしっとベガの両肩に重みがのっかったかと思うと、その重みは前に伸ばしていた手を使ってベガの顎を引き上げて見上げる格好にした

ベガの目線の先にいたのは、先ほどからの話題の張本人
アルタイルであった

「アルでしょ、逆に私に付きまとうのなんかアルしかいないでしょ」
「でも俺が付きまとうの嬉しいんでしょ?」
「勝手に言ってなさい、てかまた転移魔法使ったの?ちゃんと手続踏まないと後でややこしいことになるんだけど」

どこまでも表情が甘いアルタイルに対して
ベガはそっけなくアルタイルの手をぺいっと外すと、目の前の仕事に取り掛かり始めた

「ちょっとベガぁ~!俺必死に仕事終わらせて来たんだよ!今日ぐらい空けといてくれたっていいじゃんか~!」
「うるさい、黙れ、邪魔」
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