織姫サマはご乱心
「む~!!!……アル!…ひゃっ!」
「子供の話、本当にしちゃえばシリウス様にからかわれることもなくなるよ」
ベガの顎をつかんでいた手を背中に回し、だんだんおしりまで下げていきながらアルタイルは耳元でささやいた
「ベガ……」
「……こん、っの
色情クソ精霊がぁぁっ!!!」
沸点通過しきったベガの拳をするりと避けると
アルタイルは今度こそ本当に出ていった
…ただし、その顔はとても楽しそうだった
「…毎年これを見る僕の身にもなってくださいよ」
この空間の中で誰よりも冷めた目をしながら、今年も恒例行事が終わったとシェリアクはため息を吐いた
織姫と彦星と彼らが呼ばれる何千年も前から繰り広げられるこの攻防戦
決着がつくのはいつの間にやらかけられていたネックレスに気付いたときか
それとも
紙袋の中身が指輪だと気づいたときか
…どちらにせよ、今日は1年に1度
星に想いが届く日である