意地悪な彼が指輪をくれる理由

「一緒にいるのが辛いなら、別々に寝ればいい。お前が嫌なら、俺は何もしない」

そう言って大きな手を私の両頬に添える。

じわじわと温もりが入り込んで、切ない気持ちになる。

「あんた、何もわかってない」

「え?」

「好きなんだもん。別々に寝る方が辛いに決まってるでしょ」

「じゃあ、一緒に寝よう」

「一緒に寝るのに、何もしないなんて寂しい」

「じゃあ、しようよ」

唇を重ねると、角度を変える度にカルキっぽい水道水の味がした。

シャワーの当たらない瑛士の背中が雨で冷えてしまっている。

私の小さな手では温めてあげられない。

「……でもね、もっとちゃんと傷が塞がるまで、瑛士とエッチしちゃダメだって。先生が言ってた」

「俺限定?」

「そうみたい」

「そりゃ結構辛いな。真奈美のこんな姿を目の前にしているのに」

瑛士の唇が、額に、こめかみに、鼻に、頬に、唇に触れていく。

手は私の胴体を滑っていくけれど、手術痕のあるへそのあたりには決して触れない。

「私の傷、いつ治るんだろう?」

「まだ痛む?」

「くしゃみしたりしたら、ちょっとね」

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