意地悪な彼が指輪をくれる理由

「じゃあ、やめとく」

でも、意識して力を入れないようにしていれば大丈夫。

そう告げようとしたが、また言葉の出口を塞がれてしまった。

こうしている間に、瑛士の背中は温まってきたようだ。

「平気、だよ?」

「え?」

「力まなければ何ともない」

「でも」

「瑛士が手加減してくれたら……イかなければ平気だから。……たぶん」

「真奈美……」

もう我慢するなんて無理。

瑛士とひとつになれるなら、このまま傷がパックリ開いてしまっても構わない。

どんなに痛くても構わない。

ドクターストップなんてくそくらえ。

マンガや小説のラブシーンで見る

「めちゃくちゃにして!」

っていうセリフは、きっとこういうことなんだ。

今初めて共感した。

恐れていたことが起きようとしている。

私、きっとこのまま瑛士に溺れてしまう。

「ねえ、瑛士」

「ん?」

いつも意地悪ばかり言うくせに、ほんと、こういうときだけ優しいね。

優しくされると心から愛が溢れて手に余る。

「好きって、言ってもいい?」

瑛士は困ったように笑った。

「いいよ。好きなだけ言え」

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