意地悪な彼が指輪をくれる理由

小学校の頃、先生が教えてくれた。

「人に好かれたかったら、まずは自分が好意を示しなさい」

これを鵜呑みにしていた私は、中学時代、秀士先輩に好きだ好きだと言っていた。

先輩は爽やかな笑顔で「ありがとう」と返してくれていたけれど、彼が私を好きだと言うことはなかった。

ねえ、先生。

何回好きだと言えば、好きになってもらえますか?

2年間秀士先輩に言い続けてもダメでした。

弟の瑛士には、何年間言い続ければいいですか?

好きなんです。

好きになってほしいんです。

私、今からもっと勉強しますから。

ちゃんと勉強しますから。

もっともっと好かれる方法を教えてくださいーー……。



目を覚ますと、朝だった。

時刻は午前6時過ぎ。

遮光カーテンから漏れて来る光の量から推測すると、もう台風は去ったようだ。

風の音もしない。

私は腹に力を入れないよう気をつけながら起き上がった。

素肌で瑛士とくっついて眠っていたから、たくさん寝汗をかいている。

シャワーへ向かうため、ベッドから出た。

今日は日曜だから、瑛士はこのまま寝かせておこう。

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