意地悪な彼が指輪をくれる理由
この日、いずみと横浜駅Mビルのカフェで待ち合わせていた。
思ったより早く仕事を上がることができた私は、いずみを待っている間、調剤事務管理士のテキストとにらめっこ。
「真奈美、お待たせー」
やってきたいずみは私の向かいの席に座り、長かったにらめっこは終了した。
「ん?」
目の前にいる彼女に感じた違和感。
私はその正体を掴もうと、顔をジロジロ見つめる。
「ん? ん?」
「何よ、気持ち悪い」
答えはすぐに出た。
「いずみ、なんか肌キレイじゃない?」
つやつやというか、ピカピカというか、なんというか。
一体どんな美容液を見つけたのだろう。
是が非でも聞き出さなくては。
鼻息荒く意気込む私をよそに、いずみは「ああ」と力のない相づちを打った。
「ウェディングエステ、通ってるからね。実は今日も行ってきたの」
「あー、エステかー。もう2週間前だもんね」
「そうなの。準備が大変すぎてあっという間だったなー」
頬杖をついてため息をついた彼女の左手の薬指には、アリュールがキラキラと輝いている。
ああ、やっぱり綺麗。