意地悪な彼が指輪をくれる理由
「うわー、キラキラしてるね」
「ここの照明がいい感じだからね」
「私たち、この指輪を一生つけて生きて行くんだね」
「うん」
「今こんなに綺麗だけど、50年後にはきっと傷だらけだよね」
このいずみの言葉と笑顔に、私は小さく感動した。
50年後か……。
「ボロボロになるまで使ってよね」
「そのつもり」
私たち、きっと50年後も友達だよね。
だから、50年後もこうしてお茶をしながら、50年前はピカピカだったのにねって、話したいな。
夢がまたひとつ増えた。
大人になると夢が小さくなっていくけれど、それに対する思いは強くなっていると思う。
「そういえば真奈美、資格の勉強は進んでるの? 調剤なんちゃら」
「調剤事務管理士ね。実は明日試験なんだ」
「えっ? 明日?」
「うん。入院したから思ったより勉強が進んで、前倒しで受検することにしたの」
調剤事務管理士の試験は、奇数月の最終日曜日。
私は明日、運転免許の取得以来の試験を受ける。
きっと大丈夫。
「仕事中に瑛士と遭遇して〇〇」という不純な妄想を膨らませながら勉強に励んだ。
女の妄想はときに恐ろしい方向に向かうことがあるけれど、プラスのエネルギーだってたくさん秘めているもんね!