意地悪な彼が指輪をくれる理由

「うわー、キラキラしてるね」

「ここの照明がいい感じだからね」

「私たち、この指輪を一生つけて生きて行くんだね」

「うん」

「今こんなに綺麗だけど、50年後にはきっと傷だらけだよね」

このいずみの言葉と笑顔に、私は小さく感動した。

50年後か……。

「ボロボロになるまで使ってよね」

「そのつもり」

私たち、きっと50年後も友達だよね。

だから、50年後もこうしてお茶をしながら、50年前はピカピカだったのにねって、話したいな。

夢がまたひとつ増えた。

大人になると夢が小さくなっていくけれど、それに対する思いは強くなっていると思う。

「そういえば真奈美、資格の勉強は進んでるの? 調剤なんちゃら」

「調剤事務管理士ね。実は明日試験なんだ」

「えっ? 明日?」

「うん。入院したから思ったより勉強が進んで、前倒しで受検することにしたの」

調剤事務管理士の試験は、奇数月の最終日曜日。

私は明日、運転免許の取得以来の試験を受ける。

きっと大丈夫。

「仕事中に瑛士と遭遇して〇〇」という不純な妄想を膨らませながら勉強に励んだ。

女の妄想はときに恐ろしい方向に向かうことがあるけれど、プラスのエネルギーだってたくさん秘めているもんね!



< 183 / 225 >

この作品をシェア

pagetop