意地悪な彼が指輪をくれる理由
「昔、君は俺のことが好きだった。俺のことを好きな君を、瑛士が好きになった」
秀士先輩を好きだった私——?
「今、君は瑛士のことが好きだ。瑛士のことを好きな君を、俺が好きになった」
瑛士を好きな私——?
昔とは真逆の図式になっている。
秀士先輩が立ち上がり、私の背後へ。
後ろから腕が伸びてきて、首元に彼の温もりが伝わってきた。
そして左の耳元で囁く。
「君ばかりが報われないなんて、切ないだろ」
心臓がバクバクして壊れそう。
「今日傷つけた分、大事にする。約束する。俺を選べよ、倉田」
「先輩……」
「14年前の気持ちを思い出せ」
この人のことが、大好きだった。
好きで好きで仕方がなかった。
登校のタイミングが重なるだけで一日中ハッピーで、話ができた日は夜遅くまで眠れなかった。
少し左に顔を向けると、信じられないほど近くに彼の顔がある。
気を抜くと唇が触れてしまいそうだ。
今なら、触れてしまってもいいんだ。
何も言わない私にしびれを切らした先輩が、私を抱き上げ、すぐそこのベッドに下ろす。
「何も言わないのは、OKとみなすよ?」
白い天井を背景に見る秀士先輩の男の顔。
怖いくらいに色っぽい。
彼の手が伸びてきて、スルリ、まとめていた巻き髪が解放される。
あの日瑛士がくれたシュシュを秀士先輩が掴んでいる。