意地悪な彼が指輪をくれる理由
数分後。
「倉田さん、お待たせしました」
背後から声がして、立ち上がる。
面接を担当してくれるという「先生」は、これまではある程度年を召したおじさんばっかりだったけれど、若い声だった。
カッコイイ人だったらいいなと期待をしつつ、振り返る。
「……え?」
「局長の大川と申します」
「え? え?」
「どうぞ、お掛けください」
「瑛士!?」
思わず大きな声が出た。
白衣を身に纏った瑛士が、迷惑そうに私を睨む。
「驚き過ぎ。うるせーよ」
「だ、だって! ここ薬局でしょ? なんで瑛士がこんなとこにいるのよ」
会いたい会いたいと思ってはいたけれど、まさかこんな形で再会するなんて。
白衣なんか着ちゃってるし、似合ってるし、面接に来たのにどんな顔をすればいいかわからない。
「局長だって言っただろ。MR辞めて、責任者としてここに就職したんだよ」
「局長って、薬剤師でしょ? 薬剤師って資格がないとできないんだよ? 資格あるの?」
「当たり前だろ。俺、薬学部だったし、資格ならちゃんと学生時代に取ったよ」
知らなかった。
いや、もしかしたら聞いていたのかもしれないけれど、こんなこと想像もしていなかった。
もし私がここで働くことになったら、毎日瑛士に会えるってことだ。
俄然やる気が湧いてきた。