意地悪な彼が指輪をくれる理由
「アイス食べたい」
瑛士がこんなことを言い出したため、コンビニでタクシーを降りた。
そこでちょっとリッチなカップのバニラアイスを買い、彼の部屋へ。
暗くて外観はよく見えなかったけれど、11階建てのマンションだ。
二度失敗しながらオートロックを解除して、エレベーターに乗り込む。
11のランプが光っている。
エレベーターが上っている間、瑛士は今にも眠ってしまいそうな顔で壁にもたれていた。
「おじゃましまーす」
瑛士に続き、恐る恐る足を踏み入れる。
LEDランプによってムーディに照らされた玄関。
「どーぞー」
とフラフラ部屋へと進んで行く瑛士を追う。
廊下の奥の部屋は、リビングだった。
一人で住んでいるのに無駄に広い気もする。
大きなテレビもある。
ここに彼女と住みたかったのだろう。
瑛士は倒れ込むようにソファーへと寝転がった。
「真奈美ー。アイス—アイス—」
こんなワガママ、普段なら絶対に聞いたりしないけれど、今日だけは特別だ。
私に甘えて少しでも気が晴れるなら、今日くらいは甘やかそう。
「はいはい、ちょっと待ってね」
ソファーとテーブルの間に腰を下ろし、買ってきたカップアイスを開封する。
ここまでの道のりで、程よく溶けてくれている。
しかし付けてくれたスプーンが小さくてアイスを掬いづらい。
適量すくって、落とさないよう慎重に瑛士の口元へと運ぶ。