意地悪な彼が指輪をくれる理由
「ほら、あーん」
素直に口を開けた瑛士。
数秒味わって、またすぐに口を開ける。
再びすくって口元へ。
「おいしい?」
「うん。うまい」
何度か繰り返していると、眠気のためか口の開きが鈍くなってきた。
もう一度すくって口元へ……という時、
「あっ!」
私はアイスを瑛士の口の横に落としてしまった。
微かにしか開いてなかったから、上手に入れてあげられなかったのだ。
「つめたい」
「ごめん!」
頬の横に転がっていったアイスを慌てて指で掴む。
彼の頬はバニラに濡れてしまった。
「ティッシュ、どこにある?」
と、質問を投げかけたとき、今にも眠りそうだったはずの瑛士の眼光が、強く私を射抜いた。
「えっ……?」
アイスを掴んだ手を、彼に掴まれている。
手はゆっくりゆっくり彼に近付いて行く。
アイスが私の体温を吸って溶けてしまいそうだ。
「ちょっと、瑛士?」
瑛士は私の顔から視線を外し、手を掴んだまま、溶けたアイスが絡み付いた私の指を舐めた。
「やっ……! 舐めないでよ……っ」
ゾクリ、全身が粟立つ。
気持ち悪かったわけではない。
むしろその逆だ。
手を引き戻そうとするが、しっかり掴まれていて、逆に私の本体が彼へ近付いてしまった。
瑛士は舌を休めない。
もうとっくにアイスの味はなくなっているはずなのに、卑猥に私の手を舐め続けている。
そしてそれに応えるように、私の体は性的な反応をしようとする。
「ねっ……ダメ……ッ」
指に神経なんてあるんだ。
手の平にもあるんだ。
今まで感じたことのない感覚に、全身が震える。