意地悪な彼が指輪をくれる理由
出た方が良いんだろうか。
浮気男が今更何の用?
ヨリを戻そうとか、そういう話だったらどうしよう。
いやいや、そんなのきっぱり断れば良いだけよ。
私は数秒迷い、勇気を出して電話に出る。
「もしもし」
「久しぶり、元気?」
耀太らしい、穏やかで落ち着いた声だった。
「……おかげさまで」
散々傷つけておいて、何軽い感じで電話してきてんのよ。
話すなら話すでもっと申し訳なさそうに話しなさいよ。
……と思ったけど言えなかった。
「で、ご用件は?」
言えなかったものの、気持ちは声色ににじみ出ていると思う。
耀太は「ああ」と一息置いて、告げた。
「俺、結婚することにしたよ」
けっ……こん?
耀太が? 浮気してた耀太が?
「……は? 本気?」
「本気」
「お相手は、この間の彼女?」
「うん。そう」
「お早い決断だこと」
「あいつとは長い付き合いだったからね」
「……ふーん、長かったんだ」
耀太は軽く笑ってごまかした。
長かったって、おかしくない?
私と付き合ってたの、たった1年なのに。