意地悪な彼が指輪をくれる理由

今日実際に瑛士と対面して、私は正直驚いている。

スーツをナチュラルに着こなしており、ジャケットを脱いでシャツをまくると筋肉質な腕が現れた。

その腕が動く度に、浮かび上がった血管が気になる。

細くて頼りなかった肩も今では逞しい。

ネクタイを緩めたところに見える喉仏は色っぽく動く。

艶のある黒髪は爽やかにカットされ、ふわっとエアリーにセットされている。

28歳になった瑛士は、私が想像していた以上に「男」として完成されていた。



「瑛士は結婚しないの?」


いずみの質問に、なぜか私がどきりとする。

その表情をごまかすため、ジョッキを空にして、塩コショウで味付けられた砂肝を頬張った。

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