意地悪な彼が指輪をくれる理由
「真奈美がやったこと、私は間違ってると思うよ」
祐子さんはぴしゃりと言い放った。
きっとそれが正解なのだ。
瑛士が可哀想だからって、あまつさえ耀太が憎いからといって、アンフェアなことをやってしまった。
「本当にすみません……」
深々と頭を下げる。
あの時、磯山さんは笑顔で間違っていないと言った。
だけど、そうは思っていなかった。
本当に友達なら、きっとちゃんと間違っていることは間違っていると言ってくれるのだ。
とんでもないことをしでかした私に、祐子さんは微笑んでくれた。
「でも、私もそうしちゃうかも。だってムカつくじゃん、その元カレ」
「……はい」
「真奈美の失敗は、隣の彼女に話してしまったことだね。あんたはお人好しなんだから、もっと人を疑うことも覚えなさい」
「はい。すみません」
「今回のことは人生の反省点として、次のことを考えよう」
「次のこと……?」
「うじうじせずに、仕事仕事! バーゲンはまだ終わってないんだからね。失敗した分、売り上げで償ってもらわなくちゃ」
「はい! 頑張ります!」