意地悪な彼が指輪をくれる理由
碧は別に、いい加減な気持ちでプロポーズをしなかったわけじゃない。
それがわかって安心した私は、ふーっと深呼吸をし、ハンカチで涙を拭う。
怒りや悲しみや悔しさから解放されたのはいいけれど、何とも言えないもどかしい気持ちになった。
「話が聞けて良かったよ。俺、このままいずみに捨てられるかもって思ってたから」
「でも、もう答えは出てるじゃない」
「うん」
そうと決まれば、善は急げだ。
「ねえ瑛士、今何時?」
「もうすぐ9時だけど」
「今ならまだ間に合う。車出して」
「どこ行くんだよ」
「横浜駅のMビルまで」
「はぁ? 着いた頃には閉まってるぞ」
「もしもし、ももちゃん? 真奈美だけど、祐子さんいる?」
「って聞いてねぇし!」
いずみには絶対に幸せになってもらいたい。
もちろん碧にも。
そのために、私たち親友にもできることがある。
碧の3度目のプロポーズ、絶対に成功させたい。