好きと言えるまで
仲村先生‥‥その単語にどきりと心が跳ねる。
仲村先生は医師であり、武道の先生でもある。とっても優しくて頼りになる人だ。
私の大好きな先生、そして気がついたら目が離せなくなっていた憧れの人。
そう、私は仲村先生に恋をしている。
「お父さん武道出来ないから、大切なつばさに怪我されても困るし基礎はしっかり身に付けて欲しかったんだよ」
それを聞いたみさきお姉ちゃんは、ガクッと項垂れた。
「亡くなったお母さんはね、つばさがいずれその道を進む事が解っていたみたいなんだ、それでつばさが16になっても武道を続けていたのなら自分の道場を受け渡したい。許嫁と一緒に。、きっと出逢った許嫁の彼はつばさを大切にしてくれると思うから…よろしくお願いします。‥‥‥と。」
お父さんは、亡くなったお母さんを思い出すように暖かい声ではっきりと言った。
「これが最後の言葉だったんだ…、亡くなったお母さんはね、元々空手、合気道の先生である一宮くんに私が許嫁の話を持ち掛ける事も解っていたんだと思う。」
ポタリと、お父さんの目から涙が零れた。
久しぶりに見たお父さんの涙は、暖かく、寂しげでなにも答えられない。